人それぞれの【価値観】について
【価値観】という言葉を聞くと、「人それぞれだよね」という言葉が浮かぶと思います。
確かにその通りなのですが、実際に「自分と価値観の違う人」と会話をする場面になると、その時はやっぱり違和感を感じてしまいますよね。
今回は、先日友人と話をしていて感じた、彼との【価値観】の違いを、書いてみようと思いました。
■友人との会話
少し前の休日に、友人とランチをしながら会話をしていたのですが、その時の会話の話です。
ただ、この日の前のタイミングから、彼とはやりとりがあり。その延長となる話なので、まずはその「前提のやり取り」からお話します。
■ 新しい趣味を始めよう
その友人についてですが、年齢は僕よりも少し上で【今年で43歳・独身】です。
「共通の趣味」で知り合い、「歳が近い事と、お互い独身である事」も共通したからか、仲良くなってもう2年くらいになります。
ただ、僕が【彼の価値観】で、合わないなーと思うのが【金銭感覚】です。
お互いに、年齢と共に【人付き合い】が少なくなっていくのと同時に、【趣味】も減っていたような状況でしたので。知り合ったばかりの頃は、「何か新しい趣味を二人で始めよう!」という話を、よくしていました。
「バイクの免許を取りに行って、ツーリングでもしようか?」
「本格的に登山でもしようか?」
「景色の綺麗なスポットで、ドローンでも始めてみようか?」
その当時は、こんな話題で会話に花を咲かせましたが。これらの提案を僕がすると、彼は「全部やってみようよ」と言うのです。
■ 費用の話
「どれも、それなりにお金かかるよ?時間だって限りがあるし、流石に1つに絞った方が良いんじゃないかな?」と伝えました。
【バイク】の場合、【中型免許】なら10万円くらいで取得できて、【250cc以下】の物なら、中古なら20〜30万円もあれば買えます。【車検】もありません。
それでも【合計:50万円】くらいは初期費用でかかります。
僕は「もし始めるなら、これくらいに抑えたい」と思ってました。
しかし、彼は「バイク乗るなら、絶対に大型でしょ。250ccとか、そんなショボいのはあり得ないよ」と言うのです。
【大型免許】の場合、20〜25万円くらいは取得するのにかかります。
バイクの購入費用も、安くでも70〜80万円くらいまで上がり、【車検】も自動車並にかかります。
【合計:100万円】くらいは初期費用でかかり、【ランニングコスト】も上がります。
【ドローン】の場合は、僕らがやりたい事を考えると30万円程度はかかることが、後でわかりました。
【登山】についても、僕は「軽いハイキング程度」で考えていたのに対して、彼は「標高2000m超えの雪山にチャレンジしないと意味ないでしょ。遠足じゃないんだからさ」と言うのです。
【標高2000m超え:雪山】にチャレンジ場合、装備を揃えるだけでも20〜30万円はかかります。
しかも、初心者が「雪山」にチャレンジするというのは、非常に危険です。
■ 貯金の話
お互いに「なんの仕事をしているか?」くらいは話をしていましたが、流石に「収入・貯蓄」の話は触れてきませんでした。
しかし、この【趣味を始める話】をするにあたって、「流石にお金の話をしておいた方が良いかな」と思いました。
「彼が言うような趣味の始め方は、僕にはできない」と思ったからです。
失礼かなと思いながらも、恐る恐る「そんなに貯金あるんですか?」と質問してみたのですが。
「え?貯金なんて無いよ。1円も無い」
この回答には、正直驚いてしまいました。
「今までの会話はなんだったのか?」
彼には、今まで話してきたような【新しい趣味】なんて、始める余裕など最初からなかったんです。
■「とりあえず、貯金しましょう」
彼は、給料が振り込まれると、それを全額引き出して、次の給料日までに全部使い果たす生活をしていると言うのです。
また、お互いに【独身】なので、時々【恋愛・結婚の話】になる事もあったのですが。
彼は「20代の若い娘じゃないと、恋愛も結婚も意味ないでしょ」という価値観を持っていました。
これに関しては、「貯金もない40代に、振り向く20代なんていませんよ」と、僕は冗談まじりに言ったものです(笑)
いずれにせよ【趣味】どころではなく、まずは【貯金】しないと、僕は思ったので。
「まずは貯金しましょうよ」と、持ちかけました。
■ 二人で始めた【貯金・競争】
彼は「貯金を始めるのは、もう少し先でも良いですか?」と言いました。
「欲しいギターのアンプがあって、それが30万円くらいするんだ。それを買ってから貯金を始めても良いかな?」
「貯金もないのに、どうやって買うのか?」聞いてみると。
「クレジットカードのリボ払いで、買うんだよ」
と、当たり前みたいな顔して言われました。
いやいやいや(^^;
そこで僕は、こう持ちかけました。
「僕と貯金競争しましょう。僕に勝ったら、そのアンプを勝っても良いですよ」
こうして、約半年間の【貯金・競争】が始まったのでした。
■ 貯金競争の結果
「彼の給料」と「僕の収入」は、大体同じくらいでした。
ただ、彼は【会社員】で僕は【貧乏経営者】なので、僕は【ボーナス】がない分、不利だったのでした。
それでも、僕は「彼に貯金を始めて貰いたい」という想いがあったので、半年間、切り詰めた生活をして、まぁまぁの貯蓄額ができたのです。
で、彼はと言うと。
毎月の貯金はできなかったものの、やはり「ボーナスの効果」が大きく、【40万円】くらいの貯金ができました(と言うか、全額ボーナスですがw)。
今までの人生で、「預貯金ゼロ」だった彼からすると、大きな前進だと思いました。
【競争の結果】ですが、この時には既に「どっちが勝つ」なんて事は、お互いにどうでもよくなっていて。彼に【40万円】の貯金が出来た事実を、お互いに喜びました。
■ 彼の健康状態
話は変わり、「彼の健康状態」について。
まず「腎臓」の数値が悪く、お医者さんからは「数ヶ月に一度は、定期検査を受けて」と言われています。
それから、最近はずっと「首〜腕」に痛みと痺れがあったようなのですが。お医者さんからは、【頸椎のヘルニア】と診断されました。
「腎臓」については、半年に一度くらいは、検査費用がかかります。
【頸椎のヘルニア】については、完治するものではないので、「週1」か「2週に1度」のペースで、「痛みの緩和ケア」を受けないとなりません。
つまり、どちらも「定期的な医療費」が、かかるようになってしまったのです。
■ そんなタイミングで彼は・・・
【貯金・競争】から、もう【ギターのアンプ】の話題も消えていたのですが。数日前に、突然「例のアンプを買ったよ」と言われました。
これが、この前の【ランチでの会話】です。
ちなみに【貯金競争】から、半年くらい経っていますが。彼の貯金額は【40万円】から増えていません。つまり、貯金の殆どを使い果たす形で【アンプ】を購入したのです。
その時、僕はこう質問してしまいました。
「貯金をしないで怖くないの?」
「今、通院でお金がかかるようになっちゃったじゃない。これから歳をとると、もっと色んなところが悪くなるかもしれないんだよ」
「結婚だって、今はいいやと思っているかもしれないけど。50を過ぎて、独りでいる時に、寂しいと感じるようになっているかもしれない。そう思った時に、貯金がないと、その可能性も狭める事になるよ」
概ね、このような事を言いました。
(出過ぎた事かもしれないと思いながらも)
すると、彼はこう回答してきたんです。
「孤独になるとか、病気をするとかよりも。俺が一番怖いのは、夢中になれるモノが無いって事なんだ。お前には【仕事】があって、それが生きがいになっているから良いよ。でも、俺はそうじゃない。何か生き甲斐が無いと、生きている意味が無いように思うんだ」
【病気】や【孤独】なんかよりも、【夢中になれるものが無い事】の方がよほど怖いらしく。そういうものが見出せないまま、生きる事に意味なんかないだろ?と言うのです。
それを見つける為に、色々な物を購入したりして、没頭できる事を探しているのだそうです。
この言葉に、僕は何も言い返せませんでした。
彼の言っている事も、一理あると思えたからです。
■「違う知り合い」との、電話での会話
それから数日後、全然違う知人(僕よりも15歳くらい歳上)と電話で話す機会がありました。
例の友人とは、全く関わりのない人で、その時の会話も、彼とは全然関係ない内容だったのですが。会話の流れで、このような言葉が出てきたのです。
「だって、僕たちは仕事をする為に生きている訳じゃないじゃないですか。無駄な出費であっても、自分の好きな事に多少お金や時間を使わないと、生きている実感なんて持てないじゃないですか」
これを聞いた時、ふと、さっきの友人の言葉と重なりました。
僕は【貯金】はある程度は必要だと思っています。
ある日、突然【癌】だと言われた日から、その後2年くらいは、とってもお金に苦労した事も起因しています。
しかし、「そう思うのは、僕の価値観ってだけだもんな」と、思ったのです。
この先で、彼は病気をしてお金に困る事があるかもしれません。
でも、「今好きな物にお金を使えない事の方が問題」という彼の考えを、どうして僕が否定できるのだろうか?
そして、良かれと思った事とはいえ、彼に伝えてきた言葉に、ちょっと反省もしました。
「自分とは違う、人の価値観を理解する」
言葉にすると簡単ですが、いざその考えに直面すると、尊重するのって難しいなと思いました。